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クリエイター版DELIGHT

Terima Kasih candle 浅野裕美さん

「実は、キャンドル作家になりたくて
キャンドルを作り始めたわけではないんです」

とインタビューのしょっぱなから
私を驚かせてくれたのは、
まるで”宇宙の彼方”から届いた
宝石のようなキャンドルを制作されている
Terima Kasih candle 浅野裕美さん。

イベントやオンラインショップに
作品を出展する度に、即sold out続出。

今や押しも押されぬ
人気キャンドル作家として
活躍する彼女ですが、
そこには意外過ぎる過去がありました。

「実は、キャンドル作家になりたくて
キャンドルを作り始めたわけではないんです」

まるで天の采配のような物語に
私は感動で震えました。

 

キャンドル作家になる前は、裕美さんは
主に販売とサービス業に従事されていたそうです。

 

ある時、転職をした会社から
2か月後に解雇を言い渡されます。

 

自分の身に突然降りかかった不幸に、
裕美さんは大きなショックを受けます。
「自分は誰の役にも立たないダメ人間」だ、
「社会不適合者」だと、
自分を責め、
恥ずかしさにしばらくの間、
その事実をご両親にも
仲の良い友人にも話せなかったそうです。

出社をすると嘘をついて
スーツ姿のまま、
公園で過ごしたこともしばしば・・。

 

そんな折、
大切な友人から一本の電話がかかってきました。
最初は何気ない世間話をしていたそうですが、
裕美さんの様子がおかしいことにお友達が気づき、
「何かあったの?」と声をかけてくれたことで、
ようやく今の自分の状況を正直に話せたと言います。

 

すると彼女は、

 

「暇ならちょうど良かった!
結婚式で灯すキャンドルを作ってくれないかな?
色合わせとか得意だから大丈夫よね?」

 

と裕美さんに大胆な
リクエストをしたそうです。

 

と、ここで私たちは、
裕美さんには既に「キャンドル作り」の
スキルがあったのかな?と想像しがちです。

 

ところが裕美さん・・
この時にはまだ、
キャンドルを作った経験も知識も
一切なかったのです。

 

ではどうしてOK出来たんですか?と尋ねると、

 

「自分が必要とされている理由が
欲しかったんだと思います。
本当にただそれだけでした。」

 

と、当時を振り返って答えてくれました。

 

こんなにも独創性豊かな作品を生み出せる
才能をお持ちであるにも関わらず、
裕美さんはご自身について
「恐ろしく自分に自信がない人間」だと
称されます。

 

裕美さんに憧れるキャンドル作家さんからは、
毎日のように
インスタのフォロワー申請が来るも、
自分からはフォロー返しをしないのは、
意外にも、
「比較して苦しくなってしまうから」
だと言うのです。

 

その一方で、裕美さんは、
力強い表情で、
こんな風におっしゃいました。

 

「絶対に、この世界のどこにもないような
見たこともないようなものを作りたい!と
決めているんです!」

と。

私は裕美さんとお話をしながら、
ひとつの「疑問」が浮かんでいました。

 

それは、

「この人は、ご自身が仰るような
本当に
”自分に自信がない人”なのだろうか?
”自己肯定感が低い人”なのだろうか?」

と。

 

私にはむしろ逆で、
ご自身が、
あまりに大きなクリエイテイブパワーを
内包している為に、
それを自覚し、
受けとり一体化することへの「畏怖」が、
「自信がない」と
意識内で変換されてしまっている
だけなのではないか?
既にその大きなパワーと融合し、
解き放つ準備は出来ていて、
後は自分自身にそれを許すばかりの
タイミングなのではないか?と。

そして、他の作家や誰かを参考にする・・
と言う環境を自ら遠ざけたことで
かえって、彼女のオリジナリティの
純度があがったのではないだろうか?と。

裕美さんは制作中、
時々、「自分」と「それ以外」の境界線が溶けて
「何者でも」なくなり、
その時に、これまでにはなかった
何か「新しいもの」が生まれるのだと仰います。

 

これは、溶けて物質的にはなくなるけれども、
エネルギーとして、そこに存在し続ける
キャンドルの「質」とまさに同じこと。

 

「絶対がない世界が好きなんです」

 

と言う裕美さん。

 

今はたまたまキャンドルと言うツールを通して
「絶対がない世界」
「いつかは消えるけれどもそこに在り続ける愛しさ」を
表現しているけれど、
より自分の表現に適したツールは
常に模索し続けているのだそうです。

 

裕美さんのキャンドルに火をともしながら
溶けてゆくそれを眺めていると、
ふっと自分が自分のままで良いのだと
力が抜けてゆく瞬間があります。

 

そんな時はきっと、
オリジナリテイの旅を続ける
裕美さんとの境界線が溶けて、
この広い「創造の海」で
出逢っているのかも知れません。

 

 

Terima Kasih candle 浅野裕美さんの公式サイトはこちらから
https://www.tkcandle.com/